【改革】セミナー開催
2023.02.18
その他のお知らせ
投稿者:蓜島 克巳
2023年2月23日 とても暖かい好天に恵まれ、盛大に埼玉車協主催「改革セミナー」が開催されました。
セミナータイトル
【改革】会社を変えるには価格から・・挑戦する事で業界は変えられる
場所 パレスホテル大宮 ローズルーム 14時開演
開催日 2023年2月18日土曜日 14時開演 参加者221名
目次
開会の挨拶:司会者 小島雅夫(さいたま支部長)
来賓挨拶:
国土交通省 自動車局整備課 課長 佐橋 真人氏
「皆さんの意見を伺い行政に生かしたい」
日本自動車車体整備協同組合連合会 会長 小倉 龍一
「日車協として価格に取り組む、業界の価格について再認識して欲しい」
公明党 参議院議員 西田 まこと氏
「4期18年目を迎え、これまで料金問題を国会で取り上げてきたが大きな動きにはならなかった。ただ現在、インフレに向かっている事、消費者物価指数が4%に達したことなど大きなチャンスを迎えている。これまで2030年対応単価が大きく変わってこなかった事は特異な業界と言える。それを改革しようという泰楽理事長の本日のセミナーは大変時機を得ている。今このチャンスを生かさないと二度と大きな改革はできないものと考えている。
【講演1】値上げの極意!!本当に必要な値上げとは? 講師 辻井 啓作氏
・これまで日本の企業は値上げを検討してこなかったため、値上げの仕方が分からない、値上げするのが怖い、値上げする事でお客様が離れてしまう不安がある、値上げする事は悪だ、という不安や間違った感覚が蔓延っている。
・値上げは誰のため?
お客様の為・・・当店を利用しているお客様にとって、当店が無くなることが一番困る。
従業員の為・・・人件費、労働時間、休日、これら全て利益が決める
仕入れ先の為・・値切りはいつか品質に跳ね返る
これら全ての原資は粗利から生まれる事を理解すべき
【パネルディスカッション】
タイトル:自動車車体整備業界のこれから
パネラー 西田まこと氏 佐橋真人氏 𠮷田公紀氏 小倉龍一氏
ファシリテーター 萩原敦(副理事長)
議題 整備士不足など業界の諸問題に対してどうお考えか?
佐橋氏・・人手不足は深刻で、特に若者の獲得には賃金を上げる必要がある。
3Kのイメージが強く残っている。
土日休暇など働く環境整備が必要
小倉氏・・車の高度化に対して情報が遅く不足している。
この業界は適正な料金を頂けていないのではないか?
議題 賃上げの原資となる整備料金 レートがなかなか上がらない件について
小倉氏・・当社は整備レートを下げて板金レートと同じで行っている
佐橋氏・・鈑金業者のレートが上がっていないという事は認識している。
原則、レートは民民の契約で決まる事なので、規制をかける事はできない
西田氏・・価格交渉促進月間が始まる。価格交渉する事を国が後押しして、賃金を上げる原資を確保しやすくするための取り組みを始める。
保険会社は消費者物価が上がっていないという理由でレートの上昇を認めないが、本来企業物価指数を用いて交渉するべき。
議題 レートと損保が出資する自研センター指数の使用は問題ではないのか?
吉田氏・・地域同一レートの使用は独占禁止法に抵触する可能性は捨てきれない
西田氏・・違法と断定するのは難しい。
自社レートを計算し個別で交渉とは言いながら、そう簡単に損保側が受け入れるとは思えない。業界として基準を作ることも効果的
萩原・・個別交渉したくても、まともに会ってくれない。交渉の土俵にすら上がってもらえない。
西田氏・・日車協の役員と損保が話し合い交渉するべき。このままでは自動車修理業界が無くなってしまい。それは損保側にとっても困る話だ。
議題・・日車協会長としてこの業界をどう導くのか?
小倉氏・・今後整備難民が増加する。
低賃金だから労働者が離れてしまうこの現状を打破する必要がある。
この業界を「車が好きだから集まる業界」ではなく、適正な対価を頂ける業界であることが大事。ちゃんと生活できるレベル水準に給料体系がある業界にしていく必要がある。
最後のまとめとして行政と政治家の先生方に力を貸していただきたいという事です。
【講演2】なぜ裁判をし、最高裁まで戦ったのか? 泰楽 秀一
・今回のセミナーのテーマ【改革】とは業界の不完全なところを改めて変えていく事により良いものにしたい。
「ラーメン泰楽」をモデルにして、売上、経費、利益から価格の設定を説明。
BP業界の価格もラーメンの場合と基本は同じ
適正な利益を出すために
- 生産性(回転率)を上げる
- 原価率(コスト削減)を下げる
- 単価を上げる ①と②は限界があるため最終的に③が必要になる。
昭和56年と平成5年に当時の運輸省が「整備料金の適正化について」指導している事を知っているか?
内容:事業所ごとに整備の原価を把握してレバーレートを設定し作用料金に反映しなさい。という内容で整備事業者に通達されている。
にもかかわらず、業界の6割は計算していない。なぜなのか?
私達の仕事は「カーユーザーのために」という考えが大前提だが、この業界全ての修理費の75%は保険金として保険会社からの支払いによるもの。これが実態である以上、抜本的改革が必要になる。
なぜ裁判に?
当時、思う様に利益が残せない状況で、自社レートを計算したところ原価割れしている事が分かり、必要なレートに上げたが認められず、それ以降保険金の支払いが止められたため。
東京地裁での判決
・レートは個々の修理工場の希望定価である。
・レートは同業者との価格競争などで差が生じる
・レートの利益率は事業者に裁量権がある 等の判決を得る
今日は業界の価格に焦点を当てたセミナーだったが、明日から実行に移すには勇気も必要。
自動車鈑金塗装の仕事はとても尊い。この仕事に関わる全ての人が幸せに、喜んでいただくためにも収入はとても大切。
現在、自動車整備の資格を持っていながら6割の人は別業界に行っている。
この現状を変えたい。このままではダメだ。とはいっても容易には変えられない。
せめて今日参加いただいた皆さんが収益構造を変えて成功事例を作り、周りの工場にも波及させてほしい。そのための一歩を踏み出して欲しい。
閉会の挨拶:蓜島克己(理事)
懇親会 17:30スタート
司会:青年部
セミナーの参加者220名の殆ど全ての人が参加したとても盛大な懇親会となりました。
途中で埼車協親会の歴史紹介動画、青年部志塾の紹介動画も流れて、とても賑やかで活気あふれる懇親会となりました。
YouTube配信 会員限定で配信中!
https://www.youtube.com/watch?v=u23Y6mS42Cc
動画の終盤に「改革セミナー 編集後記」と題して、小倉日車協会長、泰楽埼車協理事長、萩原副理事長の3名による対談を追加しております。ぜひご覧ください。
あとがき:
32都道府県から221名の参加を頂き、単組でこのレベルのセミナーを開催できるのも埼車協の活発な活動量と固い結束の力によるものと感じます。
業界の価格については保険会社の存在を無視する事ができない業界で、そのためにタブー視されて発言する事すら怖がる方もいます。
でも今回のセミナーでは泰楽理事長の強い意志により、タイトルにも価格を明記して、真正面から価格について考え指摘する場といたしました。
学んで感じたことはとてもシンプルで、必要な利益を出せる自社レートを算出して、自信をもって主張する。
そしてお客様に喜んでいただけるように、技術もサービスもレートに見合うレベルに向上させる。という事でしょうか。
又後日談となりますが、
3/2参議院予算委員会で西田先生が国の取組む賃上げに絡めて、業界の料金問題を取り上げて頂きました。
様々な角度から私たちの業界にとって主張しやすい環境を整えていく必要があります。